歯の型取りについて
こんにちは勤務医の梅田です。
歯科医院での治療の中で、「型をとりますね」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
また、実際に型をとったことがある人は多いかもしれません。
今回は「型取り」についてお話ししていきたいと思います。
写真は型取りをしたものです。
ピンク色と緑色に分かれています。
ピンク色の部分の材料の主成分は「アルギン酸ナトリウム」といわれるものです。
アルギン酸ナトリウムは、海藻に含まれる多糖類の一種で、食物繊維のひとつです。
海藻に含まれるアルギン酸を抽出、精製した後、ナトリウムで中和して得られるものです。
アルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合したかたちの中性塩です。アルギン酸は水に溶けませんが、アルギン酸ナトリウムは冷水、温水に良く溶けて、粘ちょうな水溶液となります。
アルギン酸ナトリウムの水溶液にCaイオンを加えると、瞬時にイオン架橋が起こり、ゲル化します。
このゲル化したものをお口の中に入れて歯に圧接し、時間が経つと硬化することで、型をとることができます。
緑色の部分の主成分は、「寒天」です。
寒天印象材は、約 70℃以上に加熱すると流動性のあるゾルとなり、温度を下げてもゾルの 状態を維持し、40℃前後で弾性のあるゲルとなり硬化します。一般的には、ゾル化した 寒天印象材を 60~65℃で保存し、使用直前に 45℃前後で温度と流動性を調整し印象 採得(型取り)を行います。
歯科医院では頻繁にこの2つの材料を用いた「型取り」が行われています。
硬化したものを取り外すと、これでようやく歯の模型が出来上がるのです。
この歯の模型を元に技工士さんが詰めものや被せものを作ったり、入れ歯を作ったり、あるいは治療のための診査・診断に使用したりします。
「型取り」の方法は、これ以外にもあり、より精密に型をとる方法もあります。
今回はアルギン酸ナトリウムと寒天での方法の紹介でした。
河村歯科 分院
入れ歯・インプラントオフィス